- 森 晃佑
- 宮崎大学医学部附属病院外科学講座
僕は卒後4年目で、宮崎大学医学部附属病院外科学講座に入局して2年目になります。外科専門医取得を目指して外科の各分野をローテート中で、現在は同院の呼吸器・乳腺外科に勤務しています。
僕は医学部に入学した頃から心臓血管外科医を目指していました。看護師をしている母親の影響で医療の仕事に興味を持つようになりましたが、医療を扱ったテレビドラマをよく見ていました。「心臓血管外科医ってカッコイイなぁ」という漠然とした憧れが僕の心臓血管外科医を目指すきっかけでした。
医学生時代、臨床実習で外科の各分野を回るわけですが、僕の場合、心臓血管外科で実習する機会はありませんでした。医師になり、研修医2年目の時に心臓血管外科で研修し、初めて心臓の手術を見ました。胸骨が開き、心膜越しに拍動している心臓を見て、胸がどきどきしたことを覚えています。そして心膜が開いて心臓が露わになると、目の前で拍動する心臓に目が釘付けになっていました。手術が進行していく中で、拍動をやめ冷たくなった心臓に触れ、そして再び心臓が動き始める瞬間を目の当たりにし、初めての心臓手術は驚きと感動の連続で、手術の内容は全く覚えていません。当時、手術が終わって思ったことは、「やっぱり心臓外科医でカッコイイなぁ」ということだけでした。
外科に入局し現在後期研修中ですが、4年目の4月からこの間まで再び心臓血管外科で研修をしました。僕はオーベンの先生について回るばかりですが、心臓血管外科医の先生たちと一緒に仕事をしながら、手術の楽しさ・おもしろさを実感しました。心臓血管外科領域の手術はとても複雑ですが、勉強して少しでも理解できれば理解できた分、手術が楽しくなります。送血管・脱血管をどこから入れるのか、心筋保護液はどのルートからいくのか、体温は何℃まで冷やすのか、どのタイミングで冷やしどのタイミングで温め始めるのか、複数の手技をどの順番で行うのか、いろいろなことを術前からプランニングし、それを1つ1つ確実にこなしていく。どこかに綻びが生じるだけで手術がうまくいかない。非常に難しくて高い技術を要する心臓血管手術ですが、それがとても魅力的に感じました。
そんなこんなで僕は心臓血管外科医を目指しています。心臓血管外科はとても楽しくやりがいのある領域だと思います。もちろん、僕もまだ知らない大変さ、過酷さもあると思います。そういう意味でも心臓血管外科医は僕にとって雲の上のような存在ですが、早くそこに近づけるよう頑張りたいと思います。研修医や医学生のみなさんも、外科に興味があれば是非、心臓血管外科での研修をオススメします。