- 藤本 侑花
- 倉敷中央病院 心臓血管外科
心臓血管外科医の道へ
私は心臓血管外科の後期研修医2年目です。この立場から言えることなどほとんどありませんが、多少ながら、皆様が心臓血管外科を選ぶ糧にでもなればと存じます。
学生から初期研修医では動的な病態に魅せられて循環器内科を目指しておりましたが、後期研修の応募1ヶ月前に心臓血管外科のローテをして、急遽方向転換し自分の行ける施設を探しました。カテーテルと違い、そこには生の心臓があって、エコーなどで間接的に見る心臓と違い、構造が明らかで、その形成をする事で、術前の心不全が解除され元気になって帰っていく患者様をみて感動致しました。人の命に関わる仕事を“profess”されて医師の道へ進んだ私が、目の前で動いている心臓、周りで連携されて織り成されていく手術、中心で見事に新たな構造を生み出す術者をみて、感激し、今まで“興味がある”と思う科はあっても、心から“楽しい”と思う科ははじめてでした。
大変であることは想像できましたが、楽でも興味のないことは何もできませんが、興味のあることであれば辛くても進めると感じました。幸い周囲に大変恵まれ、背中を押してくれた同期、先輩先生方の力でこの道の扉を開けることができました。業務の実際は大変なもので急変も尽きない科ではありますが、一人ではできない手術はコメディカルや他科の先生方と一体になってはじめてなされる、他の科には無い魅力がそこにはあります。皆様も少しでも興味があれば、恐れず進むべき科であると思います。選ばなければ後悔をします。女性も1割いる科になり、もはや性別で科の選択を制限する時代は古いです。幸い、後期研修をさせていただいている病院ではそういったことによる弊害は全くありませんし、そうなっていくと思います。批判は容易いことです。それに負けず常に前を向くことで得られるものは計り知れません。迷う必要は無いと思います。
私の尊敬する有機合成化学者 向山 光昭先生のお言葉をお借りして、素直さと明るさと情熱を持ってすればどこに身を置こうとも必ず道は開けるのだと思います。