氷室 直哉
氷室 直哉
昭和大学病院 呼吸器外科

私は卒後5年目、昭和大学の呼吸器外科医師として働いております。

学生時代は内科医を目指しており、あまり外科に魅力を感じることなく過ごしてきました。私が呼吸器外科になろうと決めたのは研修医になってからでした。研修医として最初のローテートが呼吸器外科で、手術室での生活からスタートと思いきや初日の内容はなんと往診でした。当時、私が研修を行っていた東北の病院では、呼吸器外科の先生が術後の往診をこなし、肺癌の術後化学療法、気管支鏡検査や気管支動脈塞栓術もこなし、さらに手術も年間300例近く行っていました。このアグレッシブさと、最初から最後まで患者さんに寄り添って治療を行う姿勢に惹かれ、気づいたら呼吸器外科を選択していました。

2011年3月11日には震災に遭い、自分の働いていた病院は半壊してしまいました。当時、あまりのできごとに行き先が見えず、絶望と無力さを感じたこともありました。しかし昭和大学の先輩医師に温かく迎え入れてもらい、現在は非常に充実した日々の中で切磋琢磨しております。

胸部外科というと手先が器用な人が行い、忙しくて常人にはこなせないという印象の方もいるかもしれません。かくいう私もそう思っていました。しかし現実は大きく異なり、日々の研鑽を怠らなければ呼吸器外科医としての魅力と面白さを感じてもらえると確信しております。今の私の原動力は多くの患者さんに「先生が担当で良かった。」と言っていただいたことです。なかなかすぐには魅力を実感できないかもしれませんが、『百聞は一見に如かず』です。将来を悩んでいる方は是非、一度我々の仕事を見ていただきたいと思います。その先には皆さんが考えている以上の素晴らしい世界が広がっています。