- 田中 晃司
- 大阪大学大学院医学系研究科 外科系臨床医学専攻 外科学講座消化器外科学
自分の経歴を簡単に紹介
私は、大阪府立成人病センター消化器外科にて7年間にわたり研修させていただきました。
初めの4年間は消化器・乳腺・呼吸器・心臓血管外科をローテーションし、その後1年間は、呼吸器外科・食道胃外科・肝胆膵外科を中心に研修しました。その中で食道外科に魅力を感じ、最後の2年間は食道外科を中心に臨床経験を積ませていただきました。
食道外科の魅力について
放射線治療・抗癌剤治療の進歩した現在でも、手術は食道癌治療の中心的役割を果たしています。食道は、気管・肺・心臓・大血管など、人体が生命を維持するのに不可欠な臓器に接しており手術は非常にダイナミックです。また、食道癌は反回神経周囲のリンパ節転移頻度が高く、同部位の郭清は重要です。反回神経麻痺は、術後の嗄声、誤嚥、気道狭窄の原因となるため、非常に繊細な操作も求められます。また、食道癌手術は頸部操作・腹部操作も必要なため、非常に手術侵襲が大きく、術前術後の全身管理が非常に重要となります。このように、手術手技も難易度が高いうえ、術前術後の厳密な管理も要求されるため、一人前になるのには時間と経験が必要と思いますが、その分やりがいのある領域と思います。
医学生・研修医にむけてのメッセージ
ダイナミックかつ繊細な手術、術直後の全身管理を経て、無事に患者様が退院するときは、とてもうれしい気持ちになります。退院後は栄養管理・再発フォローアップ、再発後の治療から、緩和ケアまで、患者様一人一人に合わせた治療が特に必要な癌種と思います。最良最適の治療を提供するために、努力と工夫が常に必要でとてもやりがいが感じられると思います。全体としては、食道癌はまだまだ難治癌であり、術後のQOLなど改善すべき点が多々あり、チャレンジしがいのある領域と思います。