杉村 啓二郎
杉村 啓二郎
大阪府立成人病センター 消化器外科

食道外科医を目指して

わたしは現在、卒後12年目、大学から移動となり、現在大阪府立成人病センターに移動勤務しています。

卒業後、大学関連の市民病院で、一般的な外科研修を学びました。市民病院では、一般的な胃癌や大腸癌の手術が中心で、外科医としての基本的な知識や手技を学んだのち、大学に戻りました。大学4年間のなかで、1年間は臨床、残りの3年間は研究に没頭しました。大学の臨床分野では、市民病院では年間数例しか経験しない食道癌の手術が週に2-3件のペースで行われ、通常の典型的な胸部食道癌に対する食道亜全摘、胃管再建手術だけではなく、結腸を用いた再建方法や、頚部食道癌の手術などをみることができました。また、食道癌手術においても、低侵襲治療が導入され、HALSによる胃管作成や胸腔鏡下での胸部操作についても学ぶことができました。

さらには、近年は食道癌に対する治療は、手術単独では治療成績が不十分であるため、化学療法や放射線を含めた集学的治療が必要であります。大学では、進行食道癌に対する術前治療(化学療法や放射線療法も含めて)も外科で行っているため、そのような進行例に対するstrategyの立て方についても学ぶことができました。

道外科という領域は、消化器外科の中でも特殊な領域で、手術手技もハードルが高く、術後管理も他の領域と違いsevereな管理を必要とします。1人前の食道外科医になるためには、まず一般的な消化器外科の知識や手術手技を身に付けた上で、さらに食道外科医としての修練をつむ必要があると考えられます。非常に時間がかかるとおもわれますが、だからこそやりがいのある分野と感じます。この未知の分野で自分がどれだけやれるか、少しでも興味のある方は是非一緒にこの未知の分野に足を踏み入れてみませんか。